セルフシールドアーク溶接とは?メリット・デメリットや専用溶接ワイヤーについて詳しく解説!

こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
「屋外での溶接でセルフシールドアーク溶接を使いたい」「本当にシールドガス不要で仕上がりがきれいになるの?」と考えている方は多いのではないでしょうか。
今回は、セルフシールドアーク溶接の基礎知識やメリット・デメリット、他の溶接方法との特徴の違いについてご紹介します。
さらに、セルフシールドアーク溶接用ワイヤー3選や、セルフシールドアーク溶接の注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
セルフシールドアーク溶接とは?

セルフシールドアーク溶接(別名:ノンガス/オープンウェルド/ノーガスアーク溶接)とは、ワイヤーに内包されたフラックスが分解して発生するガスによって、溶融池を保護する溶接方法のこと。
セルフシールドアーク溶接用ワイヤーには、ガス発生剤・窒素固定剤・脱酸剤といった成分で構成されるフラックスが含まれているため、溶接金属の酸化や不純物混入の原因となる大気中の窒素や酸素と溶融池の接触を遮断でき、もし侵入したとしても溶接部への悪影響を減らせます。
外部からシールドガスを供給せずに溶接を行うことが可能なうえ、ワイヤー供給装置を使って半自動溶接ができるなどの利点があり、土木や建築といった屋外の現場溶接にて広く使われています。
セルフシールドアーク溶接が向いている現場・用途

セルフシールドアーク溶接は、シールドガスを使用せずに溶接できるため、屋外での現場溶接や、ガスボンベを持ち込みにくい作業環境に適しています。
特に、鉄骨、鋼管杭、煙突、土木・建築現場など、風の影響を受けやすい場所での溶接に用いられることがあります。
一方で、使用するワイヤーの種類や溶接条件によって、適した母材・溶接姿勢・電流範囲などは異なります。作業内容に合ったセルフシールドワイヤーを選ぶためにも、事前に製品仕様を確認しておきましょう。
セルフシールドアーク溶接のメリット・デメリット

セルフシールドアーク溶接のメリット・デメリットは、以下の通りです。
- メリット:風の影響を受けづらく屋外で作業しやすい
- メリット:ガスボンベやガス流量の管理が必要ない
- メリット:安価なコストで溶接ができる
- メリット:溶着速度が速くきれいなビードもつくりやすい
- デメリット:ヒュームが多いので換気が必要
- デメリット:ワイヤ送給装置などの用意が必要
こちらでは、上記のメリット・デメリットについて解説していきます。
メリット:風の影響を受けづらく屋外で作業しやすい
シールドガスを用いるガスシールドアーク溶接では、風速1.2m/秒であってもシールド不良により気孔欠陥が発生するリスクがあるため、防風対策が必要になります。
しかし、セルフシールドアーク溶接であれば風速10m/秒の強風でも健全な溶接部を得ることが可能なため、ビル鉄骨・海洋構造物・鋼管杭といった屋外での溶接作業に最適です。
メリット:ガスボンベやガス流量の管理が必要ない
ガスシールドアーク溶接ではガスボンベやガス流量の管理が必要ですが、セルフシールドアーク溶接ではシールドガスを使わないため管理の必要がありません。
ガスボンベの定期的な耐圧力検査や、溶接欠陥の大きな要因になるシールドガス流量の管理が必要ないため、現場の手間を大きく削減できる可能性があります。
また、ガスボンベが要らないため、溶接電源の他に送給装置・トーチ・ケーブルという構成で持ち運べることから、狭い現場への持ち込みもしやすいです。
メリット:安価なコストで溶接ができる
セルフシールドアーク溶接はガスボンベが要らないため、安価なコストで溶接ができるといえます。
ガスボンベはレンタル費用・ガス購入費・保証金の支払いが必要なことも多く、ガスシールドアーク溶接では高コストになりがちです。
一方、セルフシールドアーク溶接用ワイヤーは、他のフラックス入りワイヤと比べて高価なため、設備費だけではなくランニングコストも考慮して計算することをおすすめします。
メリット:溶着速度が速くきれいなビードもつくりやすい
セルフシールドアーク溶接は被覆アーク溶接に比べて溶着速度が速いというメリットがあるうえ、連続的にワイヤーの供給が可能なため生産性を向上させることも可能です。
また、スラグの発生量が多いことから溶接金属中の不純物除去などができるため、きれいなビード外観を得やすいというメリットもあります。
デメリット:ヒュームが多いので換気が必要
セルフシールドアーク溶接は、ワイヤーに含まれる弗化物系の成分によりヒュームの発生量が多いため、換気には十分に注意する必要があります。
特に屋内作業に用いる場合は、健康への悪影響を防ぐために換気や呼吸用保護具の着用といった対策をしっかりと行いましょう。
デメリット:ワイヤ送給装置などの用意が必要
セルフシールドアーク溶接では、基本的に専用のワイヤ送給装置・溶接機・ワイヤーを用意する必要があります。
ワイヤの送給をスムーズにするため、チップの交換や機器の整備が必要になることも覚えておきましょう。
セルフシールドアーク溶接と他の溶接方法との比較

セルフシールドアーク溶接と他の溶接方法の特徴を、以下の比較表にまとめました。
| セルフシールドアーク溶接 | MIG溶接、MAG溶接 | TIG溶接 | 被覆アーク溶接 | |
| 溶着速度 | 速い | 特に速い | 遅い | 遅い |
| ワイヤーや溶接棒の供給方法 | 自動供給 | 自動供給 | 手動 | 手動 |
| ガスボンベの必要有無 | 必要無し | 必要あり | 必要あり | 必要なし |
| 風の影響 | 受けづらい | 受けやすい | 受けやすい | 受けづらい |
セルフシールドアーク溶接用ワイヤー3選

セルフシールドアーク溶接用ワイヤーを選ぶ際は、対応する鋼種、線径、電流範囲、溶接姿勢、使用する溶接機の極性などを確認することが大切です。
特にOW-S50HはDC(-)専用ワイヤーのため、使用する溶接機の設定を事前に確認しておきましょう。
セルフシールドアーク溶接におすすめのワイヤー3選は、以下の通りです。
- OW-56A
- OW-S50H φ1.6mm
- OW-S50H φ2.4mm
こちらでは、上記3つの溶接ワイヤーについて解説していきます。
OW-56A
OW-56Aは、軟鋼~550M㎩級鋼用、線径3.2mmのセルフシールドワイヤーです。
土木(PC杭や鋼管杭)、鉄骨などの中板の突合せ、さらにすみ肉溶接に適しており、交流・直流(ワイヤプラス)の両極で使用可能なのが特徴となります。
風速約10m/秒の強風でも気孔の発生を防ぎ健全な溶接部が得られ、スラグによってきれいなビード外観につなげられます。
OW-S50H φ1.6mm
OW-S50H φ1.6mmは、軟鋼~490M㎩級鋼用セルフシールドワイヤーで、高靭性を要求せず屋外溶接に最適な製品です。
風速10m/秒の強風でも健全な溶接部が得られるため、鉄骨・鋼管杭・煙突などの突合せや、すみ肉溶接における横向姿勢での溶接作業性に優れています。
OW-S系の製品は「DC(-)専用ワイヤー」となるので、溶接機はDC(-)で使用してください。
OW-S50H φ2.4mm
OW-S50H φ2.4mmは、軟鋼~490M㎩級鋼用セルフシールドワイヤーで、屋外の現地溶接用としてぴったりの製品です。
ワイヤー径がφ2.4mmなので電流範囲は200〜400Aに対応しており、鉄骨・鋼管杭・煙突などの突合せやすみ肉溶接で、風速10m/秒でも健全な溶接が可能です。
DC(-)専用ワイヤーですので、溶接機はDC(-)で使用してください。
セルフシールドアーク溶接で注意すべき点

セルフシールドアーク溶接で注意すべき点は、以下の通りです。
- ワイヤーの突出し長さを30~50mm程度に維持する
- アーク電圧を適切にする
- アーク長は極力短くする
- ワイヤーの保管時は吸湿しないように注意する
溶接の際は、ワイヤーの突出し長さを30〜50mm程度に維持し、アーク電圧を適切に保つことで、ブローホールの発生を防止できます。
また、アーク長は極力短くしてシールド性を保つことや、ピットを防ぐためにワイヤーは雨水などに触れない湿度の低い場所で保管することも重要です。
セルフシールドアーク溶接、まとめ

今回は、セルフシールドアーク溶接の基礎知識やメリット・デメリット、他の溶接方法との比較などについてご紹介しました。
「セルフシールドアーク溶接用ワイヤーや溶接機材を探している」という方は、溶接棒・溶接機材の通販専門店WELD ALL(ウェルド・オール)がおすすめです。
プロ溶接用からDIYの用途まで、幅広いラインナップの溶接ワイヤーなどを取り揃えており、小ロットから購入できるので、ぜひWELD ALLの公式サイトで商品ラインナップをご覧ください。
