溶接ワイヤーの種類と選び方を紹介!選ぶときの注意点も解説

こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
溶接ワイヤーには素材や太さなどに応じて様々な製品があるため、溶接作業に合わせてどれを選べば良いのかわからない方も多いと思います。
今回は、溶接ワイヤーの種類や、種類ごとの違いについて詳しく解説します。
さらに、溶接ワイヤーの選び方や、選ぶときの注意点などについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
溶接ワイヤーとは

溶接ワイヤーとはコイル状の長い金属線であり、半自動溶接や自動溶接において母材を接合するために必要な溶接材料のひとつです。
溶接機にセットすることで溶接の際にワイヤーが自動供給され、これが溶けることで溶着金属となり接合部を形成する役割を担っています。
溶接ワイヤーには様々な種類があり、選び方によって溶接の品質や効率性が左右されるため、種類ごとの特徴を把握し用途などに応じて使い分ける必要があります。
溶接ワイヤーの種類は大きく分けて2つ

溶接ワイヤーの種類は、大きく分けて以下の2つです。
| 溶接ワイヤーの種類 | 概要 | 特徴 |
| ソリッドワイヤー | 中心部が100%鋼でできている溶接ワイヤーのこと。 | 主にミグ(MIG)溶接で使われ、様々な溶接姿勢に対応し、ヒュームやスラグの発生が比較的少ない。 |
| フラックス入りワイヤー | パイプのような中空状の鋼で、中央部にフラックスと呼ばれる粉の入った溶接ワイヤーのこと。 | マグ(MAG)溶接やCO2溶接などで使われ、全姿勢溶接に対応でき、溶着速度が大きい。スパッタの発生が比較的少なく、ビードや外観がきれいに仕上がる。 |
ソリッドワイヤーは内部に空洞などのない金属線構造になっていますが、フラックス入りワイヤーは「スラグ形成剤」「アーク安定剤」「脱酸剤」「合金剤」などの原料からなるフラックスが充填されていることが両者の大きな違いです。
原料の種類や配合量などの違いによって、溶接金属の機械的性質やビード外観、作業性などの性能が考慮された様々なワイヤーが販売されており、ソリッドワイヤーよりも比較的高額になります。
ソリッドワイヤーの種類

中心部が100%鋼でできているソリッドワイヤーは、適する電流域の違いによって以下の2種類にわけられます。
- 大電流用
- 小電流用
こちらでは、上記2つの特徴について解説していきます。
大電流用
大電流用のソリッドワイヤーは、高電流域での溶接作業に適した種類です。
「溶け込みが深い」「下向き・水平隅肉溶接に適する」という特徴があり、厚みのある鋼板の溶接の際に選ばれることが多く、鉄骨や産業機械などの溶接で使用されています。
小電流用
小電流用のソリッドワイヤーは、低電流域での溶接作業に適した種類です。
「溶け込みが浅い」「全姿勢に対応する」という特徴があり、薄板の溶接の際に選ばれることが多く、車両や家庭電気器具などの用途で使用されています。
フラックス入りワイヤーの種類

フラックス入りワイヤーの種類には、以下の2つがあります。
- スラグ系
- メタル系
こちらでは、上記2種類それぞれの特徴について解説します。
スラグ系
スラグ系のフラックス入りワイヤーとは、ルチールなどのスラグ形成剤を主成分とするワイヤーのことで、溶接時にスラグが多く発生し、きれいな外観のビードを得られるという特徴があります。
スラグ系のフラックス入りワイヤーの中にも、「ルチール系」と「塩基性系」があり、それぞれ以下のような特徴が挙げられます。
| ルチール系 | チタニヤやTiO₂がフラックスの主成分である種類で高電流での全姿性溶接が可能。スパッタが少なくスラグの被包性や剥離性に優れ、きれいな外観のビードを得られる。 |
| 塩基性系 | 塩基性スラグを生成する種類のワイヤーで、スパッタやヒュームが多くビード外観が劣ることが特徴。一般的にセルフシールドワイヤとして使われている。 |
メタル系
メタル系のフラックス入りワイヤーとは、鉄粉などの金属粉が主成分となるワイヤーのことで、スラグの発生量が少なく溶着効率が高く仕上がりがきれいであることが特徴です。
メタル系のフラックス入りワイヤーの中にも、「スラグの少ないタイプ」「スラグの多いタイプ」があり、以下のような特徴があります。
| スラグの少ないタイプ | 溶着速度が高く溶け込みが深い。 |
| スラグの多いタイプ | 溶け込みはやや浅く、美しいビード外観を得られる。下向きおよび水平すみ肉溶接に適用されている。 |
溶接ワイヤーの種類ごとの違い

溶接ワイヤーの種類ごとの違いは、以下の通りです。
| ソリッドワイヤー(大電流用) | ソリッドワイヤー(小電流用) | スラグ系のフラックス入りワイヤー(ルチール系) | スラグ系のフラックス入りワイヤー(塩基性系) | メタル系のフラックス入りワイヤー(スラグの少ないタイプ) | メタル系のフラックス入りワイヤー(スラグの多いタイプ) | |
| 溶け込み | 深い | 浅い | やや浅い | 浅い | 深い | やや浅い |
| 溶接姿勢 | 下向き、水平すみ肉 | 全姿勢 | 全姿勢 | 下向き、水平すみ肉 | 下向き、水平すみ肉 | 下向き、水平すみ肉 |
| ビード外観 | やや劣る | 普通 | 美しい | やや劣る | 普通 | 美しい |
| スラグ生成 | 少ない | 少ない | 被包性良好 | 被包性不良 | 少ない | 多い |
| スパッタ発生量 | 多い | 少ない | 非常に少ない | 多い | 少ない | 非常に少ない |
溶接ワイヤーの選び方

溶接ワイヤーを選ぶ際は、以下の4点を考慮して選ぶと良いでしょう。
- 用途に適するものを選ぶ
- 溶接方法に適するものを選ぶ
- 規格を考慮して選ぶ
- 適切な太さのものを選ぶ
こちらでは、上記4つの選び方について解説します。
用途に適するものを選ぶ
溶接ワイヤーは、溶接の用途に適するものを選ぶことが大切です。
母材がステンレス鋼ならステンレス用のワイヤー、軟鋼なら軟鋼用のワイヤーなど、まずは材質に適する溶接ワイヤーかどうかをチェックしましょう。
また、建築・鉄骨・車両用など溶接の用途に適したワイヤーかどうかは、各溶接ワイヤーの製品情報で確認できます。
溶接方法に適するものを選ぶ
ミグ(MIG)溶接ならソリッドワイヤー、マグ(MAG)溶接ならフラックス入りワイヤーなど、溶接方法に適するものを選ぶことも重要です。
溶接ワイヤーの製品情報に「シールドガスには、100%CO2を使用してください」など、条件についても書かれているので確認してみましょう。
規格を考慮して選ぶ
「JIS(日本産業規格)」や「AWS(アメリカ溶接協会)」など、どの規格に沿って製造されているかも考慮して溶接ワイヤーを選びましょう。
例えば、ソリッドワイヤのJIS規格なら「YGW11」など、シールドガスの種類や耐力といった条件で規格が分かれており、確認することで性質を把握できます。
適切な太さのものを選ぶ
一般的な溶接ワイヤーの直径には、以下の種類があります。
- ソリッドワイヤー:0.6、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6mmφ
- フラックス入りワイヤー:1.0、1.2、1.4、1.6、2.0mmφ
この中でも小径のワイヤーは薄板用、太径のワイヤーは大電流溶接用として用いられています。
溶接ワイヤーを選ぶときの注意点

溶接ワイヤーを選ぶときは、各ワイヤーの製品情報に記載されている「使用特性」「推奨電流」「適用できる姿勢」「その他注意事項」を確認し、目的の溶接作業に合うかどうかをチェックしましょう。
目的に合わない溶接ワイヤーを選んでしまうと、求めている溶接部の強度や作業能率を得られないことがあります。
溶接ワイヤーの種類、まとめ

今回は、溶接ワイヤーの種類や、種類ごとの違いなどについて詳しく解説しました。
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