溶接のウィービングとは?きれいなビードをつくる6つのポイントを解説!
こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
「溶接のウィービングってなに?」「ウィービングが上手くできない!」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
今回は、溶接のウィービングとは何かや、ウィービング溶接できれいなビードをつくるポイント6つをご紹介します。
さらに、ウィービング溶接が難しいといわれる理由、ウィービングの溶接が上手くなるための練習法などについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
溶接のウィービングとは?
溶接におけるウィービングとは、溶接棒やトーチを溶接の進行方向に対して横方向へジグザグに動かしながら溶接を行う方法のこと。
ウィービング溶接では、進行方向に対して横へ動かしながら進むため、「ビードの幅が広くなる」「溶接部に与える熱量が高くなる」「冷却速度が遅くなる」という特徴があります。
溶接のウィービングとストリンガビードの違い
溶接の「ウィービング」「ウィービングビード」「ストリンガビード」の特徴は、以下の通りです。
- ウィービング:溶接棒やトーチを溶接の進行方向に対して横方向へジグザグに動かしながら溶接を行う方法
- ウィービングビード:進行方向に対して横方向へジグザグに溶接するときにできるビード
- ストリンガビード:進行方向へ向けて一直線に溶接するときにできるビード
ストリンガビードはストレートビードともいわれ、進行方向へ一直線に溶接をするため、ウィービングビードと比べてビードの幅が狭くなりますが、膨らみは大きくなります。
入熱量も異なるため、溶接部に熱量を与えすぎたくないときにストリンガビードが使われる場合が多いです。
ウィービング溶接を行うメリット
ウィービング溶接を行うメリットは、以下の4つです。
- 少ないパス数で溶着量を増やせる
- 真っ直ぐなビードを引きやすい
- プールを見ながら溶接しやすい
- ビードがきれいになりやすい
こちらでは、上記4つのメリットについて解説していきます。
少ないパス数で溶着量を増やせる
ウィービング溶接では、少ないパス数で溶着量を増やせるというメリットがあります。
1パスで多くの溶着金属を盛ることができ、厚肉管などの場合溶接終了までのトータルパス数を減らせるのです。
パス数が少なくなると作業効率も向上し、与える熱量の管理も行いやすくなります。
真っ直ぐなビードを引きやすい
ウィービング溶接を行うことで、真っ直ぐなビードを引きやすいという利点もあります。
ストリンガビードの場合、ビード幅が狭まるため直線方向に溶接したと思っても曲がって見えることが多いですが、ウィービングはビード幅があるので真っ直ぐ描きやすいです。
プールを見ながら溶接しやすい
プールを見ながら溶接しやすいのも、ウィービング溶接のメリットといえます。
これは、ウィービングは比較的速度が遅いため、プールを確認しながら溶接しやすいという特徴があるからです。
ウィービングでプールをじっくり見ながら調整して溶接することで、安定したビードづくりにつながります。
ビードがきれいになりやすい
ウィービング溶接では、ストリンガビードに比べて、ビードがきれいになりやすいという利点もあります。
ストリンガビードは凸のように膨らみやすいですが、ウィービングは溶接速度が遅いことやビードが幅広いので調整しやすく、上級者でなくてもきれいなビードを描きやすいです。
ウィービングで半円を描くように進めるとビードがよりきれいに仕上がります。
ウィービング溶接が難しいといわれる理由
一般的に、初心者はストリンガビードの溶接が推奨され、ウィービング溶接は難しいといわれています。
ウィービング溶接が難しいといわれる理由は、以下の通りです。
- ウィービングの種類が多い
- 溶接姿勢によってウィービング間隔を変化させる必要がある
通常のジグザグに動かすウィービング以外にも、半円を描きながら進めたり、「逆のの字」を描きながら進めたりなど、ウィービングには様々な種類があります。
また、「上向き姿勢ではウィービングの幅を大きくしてビードの垂れ落ちを防ぐ」などのように、姿勢によっての変化が必要なことからも、難しいというイメージがあるのでしょう。
ウィービング溶接できれいなビードをつくるポイント6つ
ウィービング溶接できれいなビードをつくるポイントは、以下の6つです。
- 手首ではなく肘で動かす
- アークを短く一定に保つ
- 電流を上げすぎないように調節する
- 適切なウィービング幅をとる
- 中央は速めに、両端は少し止める
- プールの形状を意識する
こちらでは、上記6つのポイントを解説していきます。
手首ではなく肘で動かす
ウィービング溶接をする際は、手首を振って動かすのではなく、「肘で動かす」というイメージを持ちましょう。
肘で動かすイメージでウィービングすることで安定性が向上するため、きれいなビードに近づけます。
アークを短く一定に保つ
アークを短く一定に保つのも、きれいなビードをつくるときのポイントです。
溶接の基本でもありますが、均一的なビードをつくり、不良を防ぐためにも特に大事なことだといえます。
溶接棒を母材に近づけることでアークは短くなるので、一定に保つことを意識して進めていきましょう。
電流を上げすぎないように調節する
きれいなビードをつくるなら、電流を上げすぎないように調節することも忘れないようにしましょう。
電流を上げすぎると速度についていけず、結果的にきれいなビードがつくれなくなりがちです。
少し調節するだけでウィービングが楽になることもあるので、ビードが均一にできない方は電流を確認してみると良いでしょう。
適切なウィービング幅をとる
適切なウィービング幅をとらなければ、ブローホールや融合不良につながるので注意しましょう。
ウィービングの際は、溶接棒における心線の径の3倍を上限にして動かしましょう。
中央は速めに、両端は少し止める
ウィービングで忘れてはいけないのは、中央は速めに動かし、両端は少し止めるということです。
両端でアークを少し止めることで、アンダーカットを防ぎ、ビードが平滑になりやすくなります。
プールの形状を意識する
プールの形状を意識することも、きれいなビードをつくるのにつながるポイントです。
プールを見ないで溶接を進めると溶け込み不良などの原因になるため、ストリンガビードの溶接と同じように、ウィービング溶接でも楕円形のプールを保つようにしましょう。
ウィービングの溶接が上手くなるための練習法
ウィービングの溶接が上手くなるための練習法には、以下の2つがあります。
- 低い電流で練習する
- 目安の印をつけて練習する
こちらでは、上記2つのウィービング溶接練習法について解説していきます。
低い電流で練習する
「ウィービングが上手くいかない」という方は、低い電流で練習するのがおすすめです。
自分に合わない高い電流でウィービング溶接をすると、間に合わずに中央部の垂れ下がりが起きてしまいます。
低い電流でできるようになった後は、作業効率を上げるためにも段々と電流を上げてチャレンジしていきましょう。
目安の印をつけて練習する
目安の印をつけて練習するのも、上手くなるために役立つ練習方法です。
例えば、正確にジグザグと動かすために切り込みでラインを引き、その上をウィービング溶接したり、開先に印をつけて高さや幅の目安にして練習したりするのも良いでしょう。
溶接ウィービング、まとめ
ウィービング溶接は初心者には難しいといわれますが、少ないパス数で溶着量を増やせたり、真っ直ぐなビードを引きやすかったりする大きなメリットもあります。
このため、今回ご紹介したウィービング溶接できれいなビードをつくるポイント6つを押さえ、徐々にチャレンジしてみましょう。
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