ティグ(TIG)溶接とアーク溶接の違いとは?メリットとデメリットを詳しく解説!
こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
「ティグ溶接を使うと仕上がりが美しくなると聞いたことがあるけど、アーク溶接との具体的な違いがわからない!」と疑問に思っている方は多いでしょう。
ティグ溶接とアーク溶接のどちらかを選ぶ前に、仕上がりの良さや扱いやすさ、かかるコストなどを詳しく知っておきたいですよね。
今回は、ティグ溶接とアーク溶接の違いについて解説していきます。
さらに、ティグ溶接とアーク溶接のメリットとデメリットを詳しくご紹介し、目的に応じてどちらを選ぶべきかがわかる内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ティグ(TIG)溶接とアーク溶接の違いとは?
ティグ(TIG)溶接とアーク溶接では、溶接の特徴や使用する機器など、異なる点が複数あります。
こちらでは、ティグ溶接とアーク溶接それぞれの特徴をご紹介したうえで、ティグ溶接とアーク溶接の違いについて解説していきます。
ティグ(TIG)溶接とは
ティグ(TIG)溶接とは、タングステン不活性ガス(Tungsten Inert Gas)の略で、その名の通り、「タングステン電極」と「不活性ガス」を使用するのが特徴の溶接方法です。
3,000℃以上の融点があるタングステンでアークを発生させることで安定した溶接ができ、不活性ガスで溶接部を保護することで溶接部への不純物混入を防ぐことが可能です。
また、アークが安定するうえ不活性ガスで保護するため、火花が飛び散らないという特徴もあります。
ティグ溶接は、消耗しない電極を使ってアークを発生させ、アークの熱で溶接を行うため、「アーク溶接の非消耗電極式」という溶接方法に分類されます。
アーク溶接とは
アーク溶接とは、「被覆アーク溶接」といわれる溶接方法で、溶接棒を電極としてアークを発生させて溶接を行うのが特徴です。
被覆アーク溶接では、溶接時に溶接棒に塗布された被覆材が溶けてガスやスラグが発生するので、金属を保護しながら溶接をすることができます。
大がかりな装置を使わずに手動で溶接を行うことから「手溶接」ともいわれており、安価な機器を揃えて手軽に始められるのも特徴です。
溶けていく溶接棒を使って溶接することから、被覆アーク溶接は「アーク溶接の消耗電極式」という溶接方法に分類されます。
ティグ(TIG)溶接とアーク溶接の違い
ティグ溶接とアーク溶接の違いは、以下の通りです。
ティグ(TIG)溶接 |
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アーク溶接(被覆アーク溶接) |
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上記のように大きく異なる特徴があるため、ティグ溶接とアーク溶接では使用するメリットとデメリットが異なります。
以降の章ではそれぞれのメリットとデメリットを詳しく解説するので、そちらを参考にしながら目的に合った溶接方法を選んでみましょう。
ティグ(TIG)溶接のメリット・デメリット
ティグ(TIG)溶接のメリット・デメリットは、以下の通りです。
ティグ溶接のメリット |
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ティグ溶接のデメリット |
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こちらでは、上記のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
メリット1:きれいで強度の高い仕上がりになる
ティグ溶接では、アルゴンやヘリウムといった不活性ガスを使用して酸化を防ぐことができるうえ、スパッタが発生しづらいことから外観がきれいな仕上がりになります。
また、不活性ガスで不純物の混入を防げるため、ピットやブローホールといった欠陥になることを防ぎ、強度の高い仕上がりになりやすいというメリットもあります。
メリット2:大きな音や火花が出ない
ティグ溶接では被覆アーク溶接と違って大きな音が発生しないので、騒音トラブルになりづらいという利点があります。
加えて、ティグ溶接は火花が散らないため、引火して火災が発生するのを防げるうえ、溶接部分が目視しやすいです。
メリット3:多くの種類の金属を溶接できる
ティグ溶接は、以下のように様々な種類の金属を溶接できます。
- 鉄
- ステンレス
- アルミニウム
- チタン
- 銅
- マグネシウム合金
- ニッケル合金 など
上記の通り、鉄系金属から非鉄系金属まで、工業用に使用されるほとんどの金属が溶接可能です。
小さい部品や薄板の溶接もできるため、航空機・自動車・電子機器・医療機器・建設といった幅広い産業分野で活用されています。
デメリット1:溶接スピードが遅い
ティグ溶接では、溶接棒を手で供給しながら溶接をしなければいけないうえ、溶接棒の溶融に時間がかかるため、溶接スピードが比較的遅いです。
このため、大量生産する製品や、大きな構造物の溶接には向いていません。
デメリット2:溶接のコストが大きくなりやすい
ティグ溶接は、以下の理由から溶接のコストが大きくなりやすいです。
- アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスが高価
- タングステン電極が高価
- 溶接速度が遅いため人件費が高くなりやすい
タングステン電極は溶けないため長く使用できますが、不活性ガスや人件費はランニングコストとして比較的大きな負担になる可能性があります。
デメリット3:屋外の作業に向いていない
ティグ溶接はガスを使う溶接方法なので、風の影響を受けやすく屋外の作業に向いていません。
風の影響でガスが乱れると、溶接部がガスで保護されなくなってしまい溶接不良にもつながります。
アーク溶接のメリット・デメリット
アーク溶接のメリット・デメリットは、以下の通りです。
アーク溶接のメリット |
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アーク溶接のデメリット |
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こちらでは、上記のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
メリット1:コストが安い
アーク溶接は、ティグ溶接と比べて以下のように使用する機器が少ないため、比較的安いコストで溶接ができます。
アーク溶接(被覆アーク溶接) |
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ティグ溶接 |
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被覆アーク溶接機自体が安価なうえ、溶接棒をホルダーに挟むだけというシンプルな構造のため「まずは手軽にできる溶接を体験したい!」という方におすすめです。
メリット2:溶接速度が比較的速い
ティグ溶接は溶接棒を手で供給していきますが、被覆アーク溶接はホルダーに挟んだ溶接棒が電極となって溶けていくので、ティグ溶接に比べて溶接速度が速いです。
しかし、半自動溶接など他の溶接方法と比べると溶接速度が遅くなるので、生産性が高いとはいいきれません。
メリット3:環境を問わずどこでも使用できる
被覆アーク溶接はガスを使用しない方法なので、風の吹く屋外でも安定した溶接が可能です。
また、使用する機器がコンパクトなため、屋外の狭い場所での作業にも適していたり、現場への持ち運びもしやすかったりします。
デメリット1:スパッタが多いのできれいな仕上がりになりづらい
被覆アーク溶接では、溶けた金属の粒が飛び散る「スパッタ」が多いうえ、被覆材が溶けて形成される「スラグ」がビードを覆うため、きれいな仕上がりになりづらいです。
溶接部の品質が落ちる可能性もあるため、チッピングハンマーやワイヤーブラシなどで後処理をする必要があります。
デメリット2:作業者の技術によって仕上がりに差が出やすい
被覆アーク溶接はほとんどが手作業なので、作業者の技術によって見た目や強度などの仕上がりに差が出やすいです。
例えば、ホルダーに挟んだ溶接棒が短くなっていくにつれて高さを変化させる際、火花の音を頼りに正確に手を動かすなど、専門技術が求められる作業が珍しくありません。
溶け込みが不十分だと強度不足になってしまう恐れがあるので、練習をして技術を身につける必要があるでしょう。
デメリット3:安全に使用するために天候や換気に注意が必要
被覆アーク溶接は屋外での作業が行われることも多いですが、雨で濡れると感電の危険性があるので天候には注意する必要があります。
また、溶接時に大量の煙が発生するため、十分に換気ができる環境を用意しましょう。
ティグ溶接とアーク溶接の違い、まとめ
ティグ(TIG)溶接とアーク溶接では、電極の種類やガスの有無が大きく異なる点だといえるでしょう。
加えて、それぞれの溶接方法ではメリットとデメリットが異なるため、目的に合った溶接方法を選ぶのが大切です。
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