丸パイプ溶接の方法4種類を解説!成功のためのポイントや注意点とは?
こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
「丸パイプをどうやって溶接したら良いのかわからない!」という悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
溶接に慣れてきた方でも、丸パイプの溶接となると難しく感じてしまいますよね。
そこで今回は、丸パイプ溶接の方法4種類と成功のためのポイントをご紹介します。
さらに、丸パイプ溶接の注意点や必要な準備などについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
丸パイプとは?
丸パイプとは、断面が丸い棒状の形であり、中が空洞の材料のことです。
特徴としては、軽くて曲がりにくく、切断や穴あけ加工がしやすいといった点が挙げられます。
材質は鉄・ステンレス・アルミなどがあり、DIYでもハンガーラックや電気スタンドなどを作成でき、幅広い用途に使える材料です。
丸パイプ溶接の特徴
丸パイプ溶接の特徴は、以下2つのようなものがあります。
- 溶接の難易度が高い
- 溶接の前にカットする
こちらでは、上記2つの特徴について解説します。
溶接の難易度が高い
丸パイプの溶接は、難易度が高いといわれています。
これは、平面の溶接でなく複雑な形状を溶接するために作業がしにくいことや、穴が開きやすく黒ずみも発生しやすいという点が理由です。
実際に、「パイプ溶接の専門級(TN-P)を取得していれば、全方向の溶接が可能」という指標もあり、難易度の高さは周知されています。
溶接の前にカットする
一般的に溶接前にカットするのも、丸パイプ溶接の特徴です。
カットの仕上がりは製品の品質にも直結するので、技術力が必要な工程といえるでしょう。
また、丸パイプはカット以外にも穴あけ加工・タップ加工・曲げ加工があり、目的の溶接に応じて前加工を行う特徴があります。
丸パイプ溶接の方法4種類
丸パイプ溶接の方法は、以下の4種類です。
- 突合せ
- 差し込み(重ね)
- 斜め切断
- 枝管
こちらでは、上記4種類の方法をそれぞれ解説します。
突合せ
突合せとは、口径が同じ丸パイプを直線的につなぎ合わせる溶接方法のこと。
つなぎ合わせる際は、丸パイプの端面同士を当てながら溶接します。
この方法の場合、溶接の強度を向上させるためパイプの端面に開先加工(適切な形に削ったり切断したりすること)を行うのが特徴です。
差し込み(重ね)
差し込み(重ね)とは、「突合せ」のように口径が同じ丸パイプを直線的につなぐ方法です。
差し込みの場合は片方の丸パイプを拡げ、もう一方を差し込んだ状態で溶接をするという作業を行います。
斜め切断
斜め切断とは、口径が同じ丸パイプを直角に溶接する方法です。
丸パイプを直角になるようにつなぐため、溶接の前に45°の斜め切断をする必要があります。
前加工の済んだ切断面を合わせることで、丸パイプを90°の直角にして溶接することができます。
枝管
枝管とは、丸パイプに枝管(メインの主管から枝のように分かれる菅)を溶接すること。
この方法の場合、丸パイプの外面に丸パイプを接合するため、鞍型加工(馬の鞍の形状に切断する加工)を行うのが特徴です。
丸パイプ溶接を成功させるためのポイント3選
丸パイプ溶接を成功させるためのポイント3選は、以下の通りです。
- 電流・速度・距離を意識する
- 隙間が適切か確認する
- 溶接ポジショナーを使用する
こちらでは、上記3つのポイントを解説します。
電流・速度・距離を意識する
丸パイプ溶接を成功させるために、「溶接電流」「トーチの送り速度」「母材との距離」を意識することが大切です。
「溶接電流」「トーチの送り速度」「母材との距離」は、それぞれ以下の点に気をつけてみてください。
- 溶接電流:電流が高すぎる場合、穴が開きやすくなる
- トーチの送り速度:トーチの送り速度が遅い場合、穴が開きやすくなる
- 母材との距離:母材とトーチの距離が離れすぎている場合、穴が開きやすくなる
丸パイプの溶接で穴が開いてしまう失敗は多いですが、上記の点を意識することで成功に近づけるでしょう。
隙間が適切か確認する
母材の隙間が適切か確認するのも、丸パイプ溶接のコツとなります。
これは、隙間が広すぎてしまうとプールにならず、溶けた部分が離れてしまうからです。
隙間が適切になるように仮止めを抜かりなく行い、仮止め後は丸パイプの隙間が問題ないかをチェックすると良いでしょう。
溶接ポジショナーを使用する
「溶接ポジショナー」を使用すると丸パイプの溶接がしやすくなります。
溶接ポジショナーとは、丸パイプを溶接しやすい位置に回転させることができる作業台の1種です。
丸パイプを溶接するときに人が回るのは難しいですが、パイプ自体を回せると溶接部分に集中できるため、丸パイプ溶接を成功させやすくなります。
丸パイプ溶接の素材ごとの注意点
丸パイプ溶接の素材ごとの注意点は、以下の3つです。
- ステンレスパイプ
- アルミパイプ
- 鋼(炭素鋼)鋼管
こちらでは、上記3つの素材ごとの注意点を解説します。
ステンレスパイプ
ステンレスの丸パイプを溶接する際は、溶接の熱によってパイプが変形することに注意しなければいけません。
また、ステンレスパイプの厚みが薄いと溶接時に穴が開きやすいため、熱の影響範囲に注意しましょう。
例えば、TIG溶接の場合は熱の影響範囲が大きいので、レーザー溶接を使用するといった対策ができます。
アルミパイプ
アルミパイプは表面が酸化皮膜で覆われているため、除去するために交流TIG溶接を活用するといった対策をしなくてはいけません。
加えて、アルミパイプは熱に溶けやすいことからトーチの送り速度を速くするなど、工夫して溶接していくことが求められます。
鋼(炭素鋼)鋼管
鋼(炭素鋼)鋼管は、含まれる炭素の量によって溶接条件を決める必要があります。
これは、鋼(炭素鋼)鋼管に含まれる炭素量が多いと、粘りが弱まって脆くなりやすい特徴があるからです。
材料は炭素量が0.3%以下のものを選び、予熱をして急熱や急冷を防ぐのが良いでしょう。
丸パイプ溶接に必要な準備
丸パイプ溶接に必要な準備は、以下2つのようなものがあります。
- 必要な道具を準備する
- 適切な前加工をする
こちらでは、上記2つの準備について解説します。
必要な道具を準備する
丸パイプを溶接するにあたり、あらかじめ道具を準備しておきましょう。
例えば、TIG溶接をする場合、以下の道具が必要となります。
- TIG溶接機や溶接トーチなどの一式
- アルゴンガスボンベ
- アルゴン調整器
- 保護具
- 仕上げ用のグラインダーなど
上記のような道具が不足していると、溶接の際に慌ててしまうことにもなりかねないため、道具の準備は入念に行うようにしましょう。
適切な前加工をする
丸パイプ溶接の準備において、適切な前加工を行うことが重要です。
カット・穴あけ加工・タップ加工・曲げ加工といった前加工が適切に行われていない場合、溶接のスキルがあっても失敗につながってしまうことがあります。
丸パイプ溶接の方法、まとめ
「丸パイプの溶接方法がわからない」という方は、まず4種類の溶接方法ごとの特徴を押さえてみましょう。
また、今回ご紹介した丸パイプ溶接を成功させるためのポイントや素材ごとの注意点を考慮したうえで、必要な準備を行うことも重要です。
「溶接に必要な道具を準備していきたい!」という方は、ぜひ通販専門店のWELD ALL(ウェルド・オール)の公式サイトをご覧ください。
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