半自動溶接でビードをきれいに仕上げる8つのコツとは?溶接の練習法も解説!
こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
「半自動溶接でビードをきれいに仕上げる方法を知りたい!」という方は多いでしょう。
半自動溶接機は初心者でも扱いやすいですが、「きれいなビードを作れない」と悩んでいる方は少なくありません。
今回は、半自動溶接でビードをきれいに仕上げる8つのコツと、半自動溶接できれいなビードを作る練習方法についてご紹介します。
さらに、半自動溶接はきれいなビードを作りやすいといえる理由や、半自動溶接できれいなビードを作るのに役立つ資格などについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
半自動溶接の特徴と種類
半自動溶接とは、コイル状に巻かれた「ワイヤー」という溶接材料を機械によって自動供給し、溶接自体は手動で行う方法のことです。
溶接棒交換の手間がないため、質の高い作業を継続的に行える特徴があります。
半自動溶接の種類は、溶接部を保護するために使われる「シールドガス」の種類によって以下4種類に分けられ、それぞれ特徴が異なります。
半自動溶接の種類 | 使われるシールドガス | 特徴 |
CO2溶接 | CO2ガス |
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MAG溶接 | アルゴンガスとCO2ガス |
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MIG溶接 | アルゴンガス |
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ノンガス溶接 | シールドガスではなくノンガスワイヤーを使う |
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上記の通り、半自動溶接の種類によって溶接したい金属や仕上がりの品質が異なるため、きれいなビードを作りたい方は目的に応じて使い分けるのがおすすめです。
「半自動溶接はきれいなビードを作りやすい」といえる理由
「半自動溶接はきれいなビードを作りやすい」といえる理由は、以下の2つです。
- 経験を問わず作業しやすい
- 目的に応じて適切な溶接方法を選べる
こちらでは、上記2つの理由を解説します。
経験を問わず作業しやすい
半自動溶接は経験を問わず作業しやすいため、きれいなビードを作りやすいといえます。
溶接棒を交換する作業が必要な被覆アーク溶接とは異なり、スイッチを押せば溶接が簡単に始まり、自動でワイヤーが供給されます。
ワイヤーが自動供給されるので両手でトーチを保持することに集中でき、初心者でも扱いやすく、安定した品質を維持しやすいといえるでしょう。
目的に応じて適切な溶接方法を選べる
半自動溶接は目的に応じて適切な溶接方法を選べるというのも、きれいなビードを作りやすいといえる理由です。
使用するシールドガスを変えるだけで特徴の異なる溶接ができるため、金属の種類や溶け込みの深さなどの特徴をふまえたうえで状況に合った溶接方法を選択してみましょう。
半自動溶接でビードをきれいに仕上げる8つのコツ
半自動溶接でビードをきれいに仕上げるコツは、以下の8つです。
- 母材に合った溶接機を選ぶ
- 電流・電圧・ワイヤーの送給速度を適切に調整する
- 前進法と後退法を使いこなす
- ウィービングビードとストリンガビードの特徴を知る
- トーチの角度を適切に保つ
- トーチと母材の距離を適切に保つ
- 一定の溶接速度をキープする
- 締付ダイヤルやコードのセッティングに注意する
こちらでは、上記8つのコツについて解説します。
母材に合った溶接機を選ぶ
半自動溶接でビードをきれいに仕上げるなら、溶接する母材に合った溶接機を選ぶのが大切です。
鉄の溶接なら「CO2溶接」「MAG溶接」「ノンガス溶接」、異なる種類の材料の溶接なら「MAG溶接」、アルミやステンレスの溶接なら「MIG溶接」が適しています。
半自動溶接機によっては特定の溶接方法にしか対応していないものもあるので、母材に適する溶接方法が選べる溶接機かどうかをチェックしておきましょう。
電流・電圧・ワイヤーの送給速度を適切に調整する
きれいなビードを作るために、電流・電圧・ワイヤーの送給速度を適切に調整しましょう。
電流の数値は溶接の品質に、電圧の数値はビードの形状に影響を与えます。
薄板(1mm)の場合なら、電流を60〜80A、電圧を16~18Vほどに調整し、厚板(5mm)の場合なら、電流を180~220A、電圧を22~26Vほどに調整するのがおすすめです。
電流や電圧の適切な数値は、板厚が厚いと高くなり、溶接姿勢が下向きでは高くなるので、条件によって調整してみましょう。
また、ワイヤーの送給速度は、ワイヤー径が0.8mmなら3〜8m/min、1.2mmの径なら5〜10m/minほどを目安に設定するのが一押しです。
前進法と後退法を使いこなす
半自動溶接できれいなビードを作るなら、トーチの動かし方である「前進法」と「後退法」を使いこなしてみましょう。
前進法とは「トーチを進行方向に対して前方向に動かす方法」で、後退法とは「進行方向に対して後方向にトーチを向けて動かす方法」であり、以下のような特徴の違いがあります。
前進法 |
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後退法 |
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初心者には溶接を進める箇所が見やすい前進法がやりやすいといわれますが、どちらも使いこなせた方がそれぞれの特徴を活かせるので練習しておきましょう。
ウィービングビードとストリンガビードの特徴を知る
半自動溶接のトーチの動かし方には、「ウィービングビード」と「ストリンガビード」があり、それぞれの特徴を把握することも大切です。
ウィービングビード | 進行方向に対して横方向へジグザグにトーチを動かしながら溶接をして作るビード |
ストリンガビード | 進行方向へ向けて一直線に溶接をして作るビード |
ストリンガビードの方がビード幅が狭く膨らみが大きくなり、真っ直ぐなビードが引きづらくなるなどの特徴があり、状況に応じて使い分けるときれいなビードに近づけるでしょう。
トーチの角度を適切に保つ
半自動溶接ではトーチの角度を適切に保つのも重要で、「進行方向に対しての角度」と「母材に対しての角度」を意識する必要があります。
進行方向に対しては、トーチの角度を90°の垂直に保つのが理想ですが、プールの状態を確認しなければいけないので、±10°を保つイメージで行いましょう。
母材に対しての角度は、30〜50°の角度の中でやりやすい角度を見つけるのがおすすめです。
トーチと母材の距離を適切に保つ
トーチと母材の距離を適切に保つのも、きれいなビードを作るうえで大切です。
トーチと母材の距離が離れすぎるとアーク長が長くなり、溶け込みが浅くなるなどの影響でビードの品質が悪くなってしまいます。
一方、近すぎるとビードが安定しないため、トーチと母材の距離は10mmほどに保つと良いでしょう。
一定の溶接速度をキープする
きれいなビードを作るために、一定の溶接速度をキープしましょう。
溶接速度が速すぎると十分に溶け込まずダマになり、遅いとスパッタの量が増えるのできれいなビードを作ることはできません。
適切な溶接速度をキープするためには練習して慣れることが重要なので、ビードの品質をチェックしながら何回もチャレンジしてみましょう。
締付ダイヤルやコードのセッティングに注意する
半自動溶接できれいなビードが作れない方は、締付ダイヤルやコードのセッティングにも注意してみましょう。
例えば、締付ダイヤルを締めすぎるとワイヤが適切に供給されなくなり、延長コードを使うと電圧降下が起きて溶接機の能力が活かせなくなるというトラブルにもつながります。
半自動溶接できれいなビードを作る練習方法
半自動溶接できれいなビードを作る練習方法は、以下の2つです。
- 試行錯誤して繰り返し練習する
- ベテランの職人から学び、知識を身につける
こちらでは、上記2つの練習方法について解説します。
試行錯誤して繰り返し練習する
半自動溶接できれいなビードを作るには、この記事でご紹介したコツを知るだけでなく、繰り返しの練習が重要となります。
練習する際はただ闇雲に繰り返すのではなく、目標のビードをイメージし、溶接姿勢やトーチの動かし方などを意識しながら行うのが一押しです。
ベテランの職人から学び、知識を身につける
きれいなビードに近づくためには、ベテランの職人から学び、知識を身につけるのも大切です。
ベテランの職人からコツを聞いてみたり、ベテラン職人に自分の溶接技術を見てもらったりすることで、知識が徐々に身につきビードの品質向上にもつながるでしょう。
半自動溶接できれいなビードを作るのに役立つ資格
半自動溶接できれいなビードを作るのに役立つ資格は、「半自動溶接技能者資格」です。
この資格は一般社団法人日本溶接協会による民間資格で、学科試験や実技試験によって半自動溶接の専門知識と溶接技術を持っているかどうかが試される資格となります。
資格取得のために知識を得たり、技術を磨いたりすることで半自動溶接のスキル向上につながり、「きれいなビードを作る」という目標にも近づけるでしょう。
半自動溶接でビードをきれいに仕上げる、まとめ
「半自動溶接でビードをきれいに仕上げたい」という方は、今回ご紹介した8つのコツを踏まえたうえで、繰り返し練習するのが一押しです。
「半自動溶接で使用するワイヤーや溶接機材をネットで購入したい!」という方は、通販専門店のWELD ALL(ウェルド・オール)がおすすめです。
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