タップ溶接とは?タック溶接との違いや、溶接のポイントを解説!
こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
「タップ溶接ってどんな溶接方法?」「タック溶接とはどう違うの?」といった疑問を持っている方は多いでしょう。
また、タップ溶接を行ううえで注意したいポイントも押さえておきたいと考えている方もいるかと思います。
今回は、タップ溶接とはなにかや、「タック溶接」「スポット溶接」との違い、タップ溶接を行う際に押さえるべきポイントをご紹介していきます。
さらに、タップ溶接の種類やメリット、溶接記号などについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
タップ溶接とは?
タップ溶接とは、「断続すみ肉溶接」ともいわれており、断続的に溶接して配管や鋼板などの金属同士をつなぐ溶接方法です。
接合部周りを全て溶接する方法である「全周溶接」とは異なり、溶接する部分と溶接しない部分が交互に続くため、隙間が生まれやすいといった特徴があります。
このため、強度を高くしたい箇所の溶接や、隙間から内容物が漏れてほしくない箇所の溶接には向きませんが、「手間をかけず溶接したい」というケースにぴったりです。
例えば、強度があまり必要のないカバーなどの溶接でタップ溶接を用いれば、溶接量を減らせるので手間なくコストダウンも可能となります。
タップ溶接と「タック溶接」「スポット溶接」の違い
タップ溶接と「タック溶接」「スポット溶接」の違いは、以下の通りです。
- タップ溶接:断続的に溶接する本溶接
- タック溶接:小さく断続的な溶接で、本溶接の前に行う仮付け溶接
- スポット溶接:電極で金属を上下から圧力や電流で溶かす方法
タップ溶接とタック溶接は、「断続的な溶接」という共通の特徴がありますが、タック溶接は本溶接の前に行う仮付けを目的とした溶接方法です。
本溶接の前にタック溶接を行うことで、2つの金属を適切な位置に固定でき、この上から本溶接をしたり、一度溶接を削った後に本溶接をしたりします。
また、スポット溶接は点で接合する方法のため、断続的に溶接するタップ溶接やタック溶接と似てはいますが、全く異なる溶接方法です。
スポット溶接は、電極を使用し金属を上下から圧力や電流で溶かして溶接する方法を指します。
溶接機に母材をセットする定置型などで、主に薄板の溶接に使用されるやり方です。
タップ溶接の種類
タップ溶接は、以下2種類にわけることができます。
- 並列断続すみ肉溶接
- 千鳥断続すみ肉溶接
こちらでは、上記2種類の特徴について解説していきます。
並列断続すみ肉溶接
並列断続すみ肉溶接は、溶接する部分と溶接しない部分が交互に続くタップ溶接の中で、片側と反対側が対称となる溶接方法を指します。
例えば、T形溶接継手の溶接において、両側のビードを同じ位置に並べるのが並列断続すみ肉溶接です。
千鳥断続すみ肉溶接
千鳥断続すみ肉溶接は、タップ溶接の中でも、溶接する部分と溶接しない部分を両側で互い違いにする方法です。
片側と反対側で非対称となるため、溶接記号でも上下互い違いに描くのが特徴で、両側の寸法や溶接の数が記載されます。
タップ溶接のメリット
タップ溶接のメリットは、主に以下の2つです。
- 溶接を効率的に行える
- 熱による歪みが少なくなる
こちらでは、上記2つのメリットを解説します。
溶接を効率的に行える
タップ溶接の大きなメリットは、溶接を効率的に行えることです。
全周溶接の場合は高い強度が得られますが、溶接に時間がかかり、効率的とはいえません。
一方、タップ溶接では溶接量を減らせるため効率的に作業ができ、作業時間の削減やコストダウンにつながります。
熱による歪みが少なくなる
熱による歪みが少なくなるというのも、タップ溶接の重要なメリットとして挙げられます。
タップ溶接を用いると金属に熱が長く加わらないため、全周溶接に比べて歪みを抑えることが可能です。
タップ溶接で歪を抑えることで、「精度が出しやすい」「歪み取り作業の時間が軽減できる」といった利点もあるので、特に歪みやすいステンレスの薄板板金などに適しています。
タップ溶接の溶接記号
タップ溶接の溶接記号は、「基線を挟んだ上下の三角形」で描きます。
並列断続すみ肉溶接の場合は、基線を挟んだ三角形を上下対称にし、溶接の脚長・溶接の幅・溶接の数・溶接のピッチを記入します。
並列断続すみ肉溶接で上下の数値が同じときは、片側を省略して描くことが可能です。
一方、千鳥断続すみ肉溶接の溶接記号は、基線を挟んだ上下の三角形を互い違いに描きましょう。
タップ溶接のピッチ割の決め方
タップ溶接を行う前には、「断続的に何mmのピッチを空けて溶接していくか」というピッチ割を決めなくてはいけません。
ピッチ割は以下の流れで決めていきましょう。
- 「金属の全長」から「溶接の長さ」を引く
- 複数の分割数を試しながらピッチ割を決める
【全長800mmの金属同士を50mmの長さで断続的に溶接したい場合】
まず、800mm(金属の全長)-50mm(溶接の長さ)=750mm を計算します。
次に、750mmを5分割や6分割などしながら、適切なピッチの長さを考えていきましょう。
例えば、750mm÷5(分割数)=150mm(溶接50mm+ピッチ100mm)です。
このため、全長800mmの金属同士を50mmの長さで断続的に溶接を行う場合、「端から50mmの溶接⇒100mmのピッチ⇒50mmの溶接⇒100mmのピッチ…」と100mのピッチを5回繰り返すことになります。
一方、6分割の場合は125mm(溶接50mm+ピッチ75mm)と計算できます。
このように、割る数を変えながら適切なピッチ割りを決めていきましょう。
タップ溶接を行う際に押さえるべきポイント
タップ溶接を行う際に押さえるべきポイントは、以下の3つです。
- 欠陥を発生させないように準備する
- 適切なビード長さと溶接ピッチを守る
- 応力が集中する箇所は溶け込みに注意する
こちらでは、上記3つのポイントをそれぞれ解説していきます。
欠陥を発生させないように準備する
タップ溶接を行う際は、欠陥を発生させないようにしっかり準備しましょう。
タップ溶接は割れや歪みが発生するリスクもあるため、「タップ溶接は簡単かつ効率的にできる」という利点だけ考えないようにするのが大切です。
条件に応じて溶接棒を適切に選んだり、技術の向上に努めたりといった基本的な準備をして、タップ溶接にチャレンジしましょう。
適切なビード長さと溶接ピッチを守る
タップ溶接では、適切なビード長さと溶接ピッチを守るのも重要です。
ビード長さが短すぎたり、溶接ピッチが長すぎたりすると、欠陥発生のリスクがあります。
板厚によっても適切な長さが変化するため、必ず図面の指示に従うようにしましょう。
応力が集中する箇所は溶け込みに注意する
タップ溶接を行う際は、応力が集中する箇所の溶け込みに注意しましょう。
破断などのリスクを回避するため、端や角といった応力が集中する箇所をタップ溶接する際は、用心深く溶け込みを確認するのがおすすめです。
タップ溶接、まとめ
タップ溶接は、断続的に溶接して金属同士をつなぐ溶接方法であり、タック溶接やスポット溶接とは異なります。
効率的に溶接できたり、歪みが少なくなったりするメリットがありますが、欠陥が発生するリスクも考え、ポイントを押さえてタップ溶接にチャレンジするのが大切です。
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