溶接棒・溶接機材の通販専門店 ウエルドオール

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こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。

「溶接歪みについて詳しく知りたい」「溶接歪みを防ぐために効果的な対策をしたい」と考えている方は多いでしょう。

今回は、溶接歪みとは何かや、溶接歪みの発生原因、対策方法をご紹介します。

さらに、溶接歪みを放置するリスクや、溶接歪みを測定する方法などについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

溶接歪みとは

溶接歪みとは、溶接の熱によって母材が膨張し、冷却によって収縮することで起きる変形のこと。

全体を均一に加熱することができれば歪みは起きませんが、溶接では接合部のみを高温で熱するため、局部的に膨張と収縮が起き、加熱されていない周囲を引っ張ることにより、溶接歪みが発生してしまいます。

溶接歪みは対策をせずに発生を防ぐことが難しいうえ、溶接構造物の精度や組立性に大きな影響を与えるため、十分な対策の実施が必要不可欠です。

溶接歪みの種類

溶接歪みの種類には、以下のようなものが挙げられます。

溶接歪みの種類 概要
横収縮 溶接線に対して直角方向に収縮する変形
縦収縮 溶接線方向に収縮する変形
縦曲がり変形 溶接線方向に弓なりに曲がる変形
角変形 溶接線に垂直な断面の変形
回転変形 開先が開いたり閉じたりする変形
座屈形式の変形 薄板が波を打つような変形

「横収縮では溶着金属量が増えると収縮量が大きくなる」「縦収縮では溶接線中央が一番収縮しやすくなる」「座屈変形は柔らかい材料や薄板で発生しやすくなる」など、溶接歪みの種類による特徴があります。

溶接歪みが発生する原因

溶接歪みが発生する原因には、以下のようなものがあります。

  • 入熱が大きすぎる
  • 変形しやすい材料を使用している
  • 適切な溶接方法を用いていない
  • 溶接の順序が適切ではない
  • 母材が適切に固定できていない

特に、薄板や細長い材料、非対称形状の材料、さらにステンレス鋼などの線膨張係数が高い材料を使用していると変形しやすくなります。

溶接歪みを放置するリスク

溶接歪みを放置すると、以下のようなリスクが挙げられます。

  • 製品の外観が損なわれる
  • 設計とは異なる形状になってしまう
  • 強度や耐久性が低下してしまう
  • 後工程で組み合わせ不良を引き起こしてしまう

上記のように、外観が損なわれたり、形状が設計と異なったりすることで、品質検査の基準を満たせないことがあります。

また、溶接歪みを放置すると、クラックや金属疲労につながり強度や耐久性が低下するうえ、後工程の組み立て時に調整をしなくてはいけないリスクもあるため、溶接歪みを防ぐための対策をすることが重要です。

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溶接歪みを測定する方法

溶接歪みを測定する方法には、主にダイヤルゲージやコンベックスなどを用いた測定があります。

一方、これらの測定方法では正確な測定が難しいため、三次元測定機のような精度の高い測定方法が用いられることもあります。

溶接歪みを防ぐための対策方法

溶接歪みを防ぐための対策方法には、以下の8つがあります。

  1. 材料に適した溶接方法に変える
  2. 溶接電流や速度を調整する
  3. 治具で母材を固定する
  4. 仮付けの後に溶接する
  5. 歪む分を考慮して最初に変形させる
  6. 熱伝導率の良い銅板を敷く
  7. ビードを引く順番を工夫する
  8. 溶接後に変形を矯正する

こちらでは、上記8つの対策方法について解説していきます。

材料に適した溶接方法に変える

溶接歪みを防ぐためには、材料に適した溶接方法を選ぶことが大切です。

これは、材料の種類によって「線膨張係数(温度上昇による物体の膨張割合)」と「熱伝導率」が異なるうえ、溶接方法によっても「入熱量」と「熱分布」が異なるからです。

また、歪みやすい薄板の溶接をする場合、TIG溶接などではなく熱影響が少ないファイバーレーザー溶接を用いることで改善することもできます。

溶接電流や速度を調整する

溶接電流や速度を調整して入熱量を適切にすることも、溶接歪みを防ぐために有効な対策方法です。

入熱量が大きすぎると金属が変形しやすくなるため、電流値を下げたり溶接速度を上げたりすることで溶接歪みを抑えられるでしょう。

治具で母材を固定する

治具で母材を固定することで、歪みによる変形を抑え込むことも可能です。

3D溶接テーブルや3D溶接定盤などの固定治具を使用し、製品形状に合わせて四方をクランプで押さえつけて強力に固定すれば、溶接歪みの発生を防ぐことができます。

一方、治具で固定する際は、強力に固定しすぎてしまうと接合部に割れが発生する可能性があるため注意しましょう。

また、 固定する母材によっては特注の治具が必要になるケースもあり、その場合には製作コストが大きくなることもあります。

仮付けの後に溶接する

溶接歪みを防ぐために、溶接の前に仮付けをするという方法もあります。

仮付けとして「点付け溶接」を行い、断続的につなぎ合わせておくことで、変形を抑えられるでしょう。

しかし、仮付け箇所が多すぎると割れが発生する原因にもなるため、仮付けだけで対策を行うのではなく、他の方法と併せて実施するのがおすすめです。

歪む分を考慮して最初に変形させる

歪む分を考慮して最初に変形させ、溶接歪みが起きることで目的の寸法に収めるという対策方法もあります。

この方法は「逆歪法」や「予歪法」と呼ばれ、溶接の前に逆方向の変形を加えたり、歪み量を見込んだ設計をしたりして完成品の歪みを防ぐ方法です。

歪み量をあらかじめ予測することができていれば、修正の必要がない出来上がり精度を実現することが可能ですが、歪み量は条件によって異なるため、仕上がりの質は職人の経験に依存してしまうという点も考慮する必要があるでしょう。

熱伝導率の良い銅板を敷く

母材の下に熱伝導率の良い銅板や鋼板を敷くことで、溶接歪みを抑えるという対策方法もあります。

熱は温度が高い方から低い方へ移動するため、母材に熱が集中することなく、銅板や鋼板に熱を逃がすことが可能です。

熱を逃がすことで溶接歪みを抑える方法には、他にも「霧状の水を吹き付ける」「溶接部の下にアルゴンガスを通す」「タオルを濡らして溶接部の裏に当てる」といったものもあります。

ビードを引く順番を工夫する

ビードを引く順番を工夫することで熱の集中を防ぎ、溶接歪みを抑えるという方法もあります。

直線的にビードを引く場合、ビードの熱が次々に伝わって高温状態となり、歪みの原因になります。

一方、「飛石法(スキップ溶接)」と呼ばれる、一定間隔に区切って飛び飛びに溶接を行う方法であれば、熱を分散させることができ、変形を抑えられます。

他にも、「バックステップ法」や「対称法」といった方法でビードを引く順番を工夫すると、熱が集中することなく歪み対策につながるでしょう。

溶接後に変形を矯正する

溶接歪みが発生した場合、「溶接後に変形を矯正する」という方法もあります。

溶接後の矯正方法には、以下のようなものがあります。

溶接後の矯正方法の種類 概要
局部加熱矯正法 お灸などで溶接部や周辺を局部的に加熱して変形させることにより、溶接部の変形を小さくする方法
機械的矯正法 プレス・ローラ・ピーニング法などで、機械的な力を加えて矯正する方法
加熱加圧法 ジャッキとプレスを併用し、加熱と加圧で変形を矯正する方法

変形を未然に防ぐ対策方法を実施するよりも、上記のような方法を用いる方が生産性が良くなるケースもあるので、どの方法が最適かを考慮して取り入れることが大切です。

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溶接歪み、まとめ

今回は、溶接歪みとはなにかや、溶接歪みの発生原因、対策方法をご紹介しました。

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