溶接クレーターとは?発生原因や処理方法などを詳しく解説!

こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
溶接クレーターの発生は品質への悪影響につながるリスクがあるため、発生原因や処理方法を詳しく知ることが大切です。
今回は、溶接クレーターとは何か、溶接クレーターの発生原因、溶接前に行いたいクレーター割れを防ぐためのポイント、溶接中にクレーターを適切に処理する方法をご紹介します。
さらに、溶接クレーターを放置したときの悪影響や、溶接クレーターを処理するときの注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
溶接クレーターとは?

溶接クレーターとは、溶接ビードの終端に発生する小さなくぼみのことで、溶接現象の用語のひとつです。
この現象は、溶融金属がアーク圧力によって凹状にされ、表面張力などでより深いくぼみになり、冷却されて固まる過程をもとに形成されます。
放置することで「クレーター割れ」などの欠陥を発生させることにもつながるため、クレーター割れを防ぐための対策や、クレーター処理を行うことが必要です。
溶接クレーターは目視で簡単に判別することができるサイズのくぼみですので、見逃がさないようにしましょう。
溶接クレーターの発生原因

溶接クレーターの代表的な発生原因は、以下の2つです。
- 終端で溶接を急に止めてしまった
- 溶着金属による充填が不十分だった
溶接ビードの終端で急にアークを切ったり電極を引き抜いたりすると、くぼみの形状のまま溶融金属が凝固してしまい、溶接クレーターが形成されます。
また、くぼみが完全に冷却する前に、溶着金属による充填が不十分だった場合も、クレーター発生原因になります。
基本的にクレーターには、「クレーター処理」というくぼみ部分の充填が必要になりますが、これを適切に行えていないと溶接クレーターを防ぐことは難しいといえます。
溶接クレーターを放置したときの悪影響

溶接クレーターを放置すると、以下のような悪影響のリスクがあります。
- 耐久性の低下につながる
- 腐食が進行する原因になる
- 強度低下や破損を引き起こす
溶接クレーター部分は密度が低く、外部の力に対して弱くなってしまうため、耐久性の低下につながる可能性があります。
また、クレーターのくぼみに水分などが溜まってしまうと、そこから製品の腐食が進行するリスクも考えられるでしょう。
加えて、クレーター処理が適切に行われなかったり、溶接部が急速に冷却されたりすると、クレーター部の中央部にかかる収縮応力によって「クレーター割れ」という欠陥が発生し、全体の強度低下や溶接部の破損を引き起こす恐れもあります。
【溶接前】クレーター割れを防ぐためのポイント

クレーター割れを防ぐためには、溶接前に以下4つのポイントを押さえるのが良いでしょう。
- 溶接機の設定を適切に行う
- ルートギャップを広くしすぎない
- 治具などで強く拘束しない
- タブ板を使う
こちらからは、上記4つのポイントをそれぞれ解説していきます。
溶接機の設定を適切に行う
クレーター割れを防ぐためには、溶接機の設定を適切に行うことが大切です。
まずは、電流・電圧・ワイヤー送給速度を、素材や板厚に応じて適切に設定し、均一な溶接が行えるようにしましょう。
そのうえで、溶接機の「クレーター処理機能」を活用すると、クレーター処理を簡単に進めることができます
クレーター処理機能とは、スイッチを押すことで本電流からクレーター電流(弱電流)へと移行し、終端部の急激な冷却を防ぎ、クレーター割れ発生リスクを減らせる機能のことです。
クレーター電流の設定は、「本電流の3分の1」が基本で、クレーター電流へと切り替わるまでの時間であるダウンスロープの設定は「約1秒(緩やかに移行できる時間)」、溶接後にシールドガスを吹き付ける時間であるアフターフローの設定は「約5秒」を目安に、母材の種類や板厚、継手形状、溶接条件を考慮して決めましょう。
ルートギャップを広くしすぎない
ルートギャップを広くしすぎてしまうとクレーター割れの原因につながるため、クレーター割れが気になる方は少し狭めにしましょう。
ただ、狭くしすぎると溶け込み不良の原因になるため、適切な範囲で調整することが重要です。
治具などで強く拘束しない
治具などで強く拘束すると溶接クレーター部分に力が加わってしまうため、クレーター割れが発生しやすくなります。
溶接変形の対策を行う場合は、事前に逆方向に変形させる「逆歪法」などで対策し、拘束を弱めるのが良いでしょう。
タブ板を使う
クレーター割れを防ぐために、「タブ板」を使うという方法もあります。
タブ板とは、エンドタブや終端タブともいわれる補助板のことで、継手の終端に取り付けて溶接を行い、溶接終了後に板を取り除けば溶接部の欠陥を防げるというものです。
溶接クレーターによる品質への影響が気になる場合は、タブ板を採用することをおすすめします。
【溶接中】クレーターを適切に処理する方法

溶接中に適切なクレーター処理を行うためには、各溶接ごとの手順を押さえる必要があります。
こちらからは、「被覆アーク溶接」「半自動溶接」のクレーター処理方法と、「TIG溶接」のクレーター処理方法をそれぞれ解説していきましょう。
「被覆アーク溶接」「半自動溶接」のクレーター処理方法
「被覆アーク溶接」「半自動溶接」でクレーター処理を行う際は、クレーター部分に再度溶融金属を充填する方法が用いられます。
この場合のクレーター処理は、以下の手順で行いましょう。
- 溶接ビードの終端に到達する
- 溶接棒を母材から一度離してアークを切る
- クレーターが凝固する前に、再度アークを2、3回にわけて発生させ、クレーター部分を充填する
クレーターを充填した後は、溶接部を急冷させないようにするとクレーター割れを防ぎやすくなります。
「TIG溶接」のクレーター処理方法
「TIG溶接」でクレーター処理を行う際は、溶接機の「クレーター処理機能」を活用して電流を徐々に下げながら終端部の溶接を行います。
この場合のクレーター処理は、以下の手順で行いましょう。
- 溶接機のクレーター処理機能を「有り」にし、クレーター電流・ダウンスロープ・アフターフローなどの設定を事前に行う
- 溶接を始め、ビードの終端に到達したらスイッチでクレーター電流へと切り替え、そのまま少しキープする
- アフターフローでシールドガスをクレーター部分に吹き付ける
最後のアフターフローは、クレーター部分の酸化や窒化を防ぐためのものです。
溶接クレーターを処理するときの注意点

溶接クレーターを処理するときは、以下の注意点を意識しましょう。
- クレーター処理は完全に冷却する前に行う
- 薄板や薄肉材のクレーター処理は難しいこともある
クレーター処理は完全に冷却した後に行ってしまうと、欠陥が内部に残るリスクがあるので、ビードが赤熱している間に進めましょう。
薄板や薄肉材の場合、肉厚や時間の問題でクレーター処理をすることが難しいときは、適切な溶接ワイヤ選びが重要になるケースがあります。
溶接クレーター、まとめ

今回は、溶接クレーターとは何か、溶接クレーターの発生原因、溶接前に行いたいクレーター割れを防ぐためのポイント、溶接中にクレーターを適切に処理する方法などをご紹介しました。
溶接クレーターは放置することは製品の品質に悪影響を及ぼすリスクがあるため、この記事でご紹介したクレーター割れ防止ポイントやクレーター処理の方法を参考に対策をしてみてください。
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