溶接で発生するブローホールの直し方とは?原因と対策を詳しく解説!
こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
「溶接で発生したブローホールの直し方が知りたい!」と悩んでいる方は多いでしょう。
丁寧に溶接を進めていてもブローホールが検出されると、「もっと効果的な対策方法はないだろうか?」と考えてしまいますよね。
今回は、溶接でブローホールが発生する3つの原因と、溶接で発生したブローホールの直し方3ステップをご紹介します。
さらに、溶接後にブローホールを直すときの注意点や、ブローホールを防ぐために溶接で押さえるべきポイントなどについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
溶接で発生するブローホールとは?
ブローホールとは、溶接によって金属内に発生したガスや侵入したガスが内部に閉じ込められてできる球状の空洞のことで、溶接部の欠陥の1つとして定義されています。
ブローホールを放置すると強度不足を引き起こすなどのリスクがあるため、ブローホールが発見されたときは削って補修をすることが重要です。
ブローホールとよく似た溶接欠陥2種類
ブローホールとよく似た溶接欠陥は、以下の2種類です。
- ピット
- ピンホール
こちらでは、上記2種類のよく似た溶接欠陥について解説するので、溶接欠陥の名称を混同しないための参考にしてみてください。
ピット
ピットとは、溶接金属内部に発生したガスが放出されたときにできる穴のことであり、溶接欠陥の1つです。
ガスが溶接金属内に留まってできる気孔がブローホールである一方、内部のガスが放出されたときにできる穴がピットと呼ばれます。
また、ブローホールは内部に発生する欠陥ですが、ピットは表面に発生する欠陥です。
ピンホール
ピンホールは、ピットのように内部で発生したガスや侵入したガスが原因でつくられる欠陥の穴ですが、穴の大きさが針で刺したような極小の穴の欠陥のことを指します。
肉眼で確認しづらいものもありますが、内部の強度に悪影響となることが考えられるので、「適切な電流設定を行う」などの対策を立てることが大切です。
溶接でブローホールが発生する3つの原因
溶接でブローホールが発生する主な原因は、以下の3つです。
- 開先やワイヤについた油脂や水分
- 強風や湿度の高い環境
- 適切ではないシールドガス流量・アーク長・溶接電流
こちらでは、上記3つの原因について解説します。
開先やワイヤについた油脂や水分
開先やワイヤについた油脂や水分などは、ブローホールを引き起こす原因になります。
また、開先に関しては下記のようなものにも注意しましょう。
- 錆
- ごみ
- ペンキ
- 粉塵
- 酸化スケール
- 圧延スケール
- 過度の防錆剤 など
上記以外に、例えばサブマージアーク溶接に用いられるフラックスの異物混入も、ブローホールの原因として挙げられます。
強風や湿度の高い環境
強風や湿度の高い環境もブローホールを発生させる原因になります。
強風がある環境で溶接をするとシールドガスが乱れて大気を巻き込んでしまうことに。
一方で、湿度が高い環境で溶接をすることで、開先部やワイヤに発生した結露が熱で分解され、水素ガスが発生するので、溶接の環境には十分気を付けましょう。
適切ではないシールドガス流量・アーク長・溶接電流
ブローホール発生の原因として、適切ではないシールドガス流量・アーク長・溶接電流も挙げられます。
シールドガス流量が多すぎると大気を巻き込んでしまううえ、アーク長が短かったり溶接電流が高すぎると溶融池が乱れてブローホール発生につながりかねません。
溶接で発生したブローホールを放置するリスク
溶接で発生したブローホールを放置するリスクは、以下の通りです。
- 外観が悪くなる
- 腐食
- 気密性や油密性の低下
- 強度への影響(欠陥率8%以上などの条件によって影響が出る場合あり)
ブローホールが表面まで達してピットになっている場合、外観が悪くなるうえ腐食の影響が大きくなるなどの悪影響が考えられます。
溶接で発生したブローホールの直し方3ステップ
溶接で発生したブローホールの直し方3ステップは、以下の通りです。
- ステップ1:溶接部の検査を行う
- ステップ2:溶接部を削ってブローホールを除去する
- ステップ3:補修溶接を行う
こちらでは、上記3ステップを順番に詳しく解説していきます。
ステップ1:溶接部の検査を行う
ブローホールを直す前に、欠陥の有無や位置を測定するための検査を行いましょう。
金属の内部を確認するためには、放射線透過試験(RT)や超音波探傷試験(UT)といった方法が使われます。
検査結果を見てブローホールの位置を特定できれば、溶接部の欠陥位置にマーキングしておきましょう。
ステップ2:溶接部を削ってブローホールを除去する
次に、溶接部を削ってブローホールを除去します。
エアアークガウジングやグラインダーを使用して丁寧に作業していきましょう。
ブローホールが見えたら確実に削って除去し、さらに補修溶接がしやすいように船底型に削って整形しましょう。
ステップ3:補修溶接を行う
最後に、補修溶接を行っていきます。
補修溶接後の検査で欠陥が見つからないようにするためにも、1層目から最終層まで丁寧に溶接して空洞をきれいに埋めましょう。
溶接後にブローホールを直すときの注意点
溶接後にブローホールを直すときの注意点は、以下の2つです。
- ブローホールを見逃がさない
- 補修溶接の回数制限に注意する
上記2つの注意点を確認し、ブローホールを直す際の参考にしてみてください。
ブローホールを見逃がさない
溶接後にブローホールを直すときの注意点は、ブローホールを見逃がさないことです。
補修溶接をした後の検査で再度欠陥が見つかると二度手間になってしまうので、丁寧に確認することを心がけてみましょう。
補修溶接の回数制限に注意する
補修溶接の回数制限に注意することも意識しておきたい要点の1つです。
何度も補修溶接をすることで材質の劣化などのリスクがあるため、企業によっては「2回まで」といった回数制限が決められていることも。
あらかじめ、回数制限をはじめとする補修のルールを、詳しい方に確認するのが良いでしょう。
【ブローホールを防ぐために】溶接で押さえるべきポイント
ブローホールを防ぐために溶接で押さえるべきポイントは、以下の3つです。
- 開先やワイヤの汚れを除去する
- 強風への対策をする
- シールドガスが適切に供給されるかをチェックする
こちらでは、上記3つのポイントについて解説します。
開先やワイヤの汚れを除去する
開先やワイヤの汚れはガスの発生原因となり、ブローホールなどの欠陥につながるため確実に除去しましょう。
ワイヤに錆や水分が付着してしまっている場合は、新品に替えて使用することがおすすめです。
強風への対策をする
強風がある環境で溶接を行わなければいけない場合、ブローホールを防ぐための対策をすることが効果的です。
例えば、ガス流量を増加させたり防風対策ができる衝立を使用したりなど、状況に応じて適切な方法を検討してみましょう。
シールドガスが適切に供給されるかをチェックする
シールドガス流量が不足していたり増やしすぎたりするとブローホールの原因になるため、適量を供給できるかチェックしましょう。
ガスボンベの残量や、ホースからガス漏れがないかを確認することにより、適切な流量を保つことができます。
また、シールドガスが不純にならないように溶接用規格品を使用することも重要です。
溶接で発生したブローホールの直し方、まとめ
溶接後にブローホールが発見された場合は、今回ご紹介したブローホールの直し方3ステップを参考に補修溶接をしてみてください。
また、今後のブローホール対策のためにも、汚れの除去や強風対策、シールドガス流量のチェックをすることが良いでしょう。
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