完全溶け込み溶接とは?部分溶け込み溶接との違いや溶接の手順などを解説!
こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。
「完全溶け込み溶接って具体的にどんな溶接なのかを知りたい!」と感じている方は多いのではないでしょうか。
今回は、完全溶け込み溶接とはなにかや、部分溶け込み溶接との違い、完全溶け込み溶接を行う方法や手順をご紹介します。
さらに、完全溶け込み溶接が用いられる溶接継手の種類や、完全溶け込み溶接をするうえで押さえるべきポイントなどについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
完全溶け込み溶接とは?
完全溶け込み溶接とは、母材の開先の断面全体を溶接棒や溶接ワイヤーを使って完全に溶け込ませ、一体化させる溶接方法のことです。
現場では完全溶け込み溶接のことを「フルペネ」と呼び、溶接記号の隣にFPと記載されることも多いです。
母材の板の端部を突き合わせて溶接する「突合わせ溶接」と同じ意味だと誤解されがちですが、断面全体を溶け込ませる方法だけが完全溶け込み溶接といえます。
完全溶け込み溶接が用いられる場面としては、強度が要求される「鉄骨材のつなぎ目部分」の溶接などが挙げられるでしょう。
完全溶け込み溶接のメリット
完全溶け込み溶接のメリットは、溶接部における強度の信頼性が高いことです。
これは、母材よりも強度の高い溶着金属を使用して完全溶け込み溶接をすることで「溶接部が母材と同じ耐力となる」とされていることが理由だといえます。
完全溶け込み溶接により、許容応力度は溶接する鋼材自体と同等とすることが可能です。
完全溶け込み溶接と部分溶け込み溶接の違い
完全溶け込み溶接と部分溶け込み溶接の違いは、以下の通りです。
完全溶け込み溶接 | 母材の断面全体を完全に溶け込ませて一体化させる方法 |
部分溶け込み溶接 | 母材の一部に設けた開先に溶接し、母材同士を部分的に溶接する方法 |
上記のように、文字通り完全に断面全体を溶け込ませているか、部分的に溶接をしているかが大きな違いとなります。
部分溶け込み溶接は、厚みのある板を溶接する際などに用いられますが、曲げモーメント(部材を曲げようとする力)や引張力が作用する場合、強度が不足しやすくなります。
完全溶け込み溶接が用いられる溶接継手の種類
完全溶け込み溶接が用いられる溶接継手(溶接によってつなぎ合わせる材料の組み合わせ方)の種類は、以下の4つです。
- 突合せ継手
- T継手
- 十字継手
- 角継手
こちらでは、上記4つの溶接継手について解説します。
突合せ継手
突合せ継手とは、同一平面上に置かれて向き合う母材間に開先を設けた、溶接継手のことです。
円滑であり段差や切り欠きがないことから、応力集中が発生しづらく比較的耐久性が安定している特徴があります。
T継手
T継手とは、板の表面にもう1つの板の端面を載せ、母材がT字のように直角に組み合わさった状態の溶接継手です。
開先を設けて完全溶け込み溶接をすることで強度を高める他、隅肉溶接も用いることができます。
十字継手
十字継手は、T継手の裏側の面にも板の端面を直角に組み合わせ、十字型にする溶接継手のことです。
T継手と同様、開先を設けて完全溶け込み溶接をしたり、隅肉溶接を用いたりすることができます。
角継手
角継手とは、2つの母材をL字型になるように直角にし、母材の端が継手になる溶接継手です。
角継手には、開先溶接や隅肉溶接などが用いられ、ボックス部材の制作などに使われます。
完全溶け込み溶接を行う3種類の方法
完全溶け込み溶接を行う3種類の方法は、以下の通りです。
- 裏当て金あり
- 裏当て金なしの裏波溶接
- 裏はつりを行う裏当て金なし
こちらでは、上記3種類の方法について解説します。
裏当て金あり
「裏当て金あり」とは、完全溶け込み溶接をする際、開先(かいさき)の溝の裏側に「裏当て金」という蓋をすることです。
溝の底の空き(ルートギャップ)は、5〜7mmほどあるため、裏当て金をしなければ溶融金属が底から下にこぼれ落ちる「溶落ち」が発生してしまいます。
裏当て金を使用して溶接をすると、溶融金属が裏当て金まで溶け込み母材と接合されますが、溶接後も裏当て金を取り除くことは基本的にありません。
裏当て金を用いた方法は、建築鉄骨などで使われることが多いです。
裏当て金なしの裏波溶接
「裏当て金なしの裏波溶接」とは、裏当て金なしで溶接を行い、溶接面の裏側にビードを出す方法のことです。
主に、裏当て金を使いたくないケースや、次に解説する「裏はつり」が難しい状況のときに用いられます。例えば、長い配管の溶接の際には、裏はつりができなかったり、内側から何も加工ができない場合に用いられる溶接方法です。
表面だけでなく溶接面の裏面にもビードを出すことで、液溜まりや異物混入の防止にもつながります。
「裏はつり」を行う裏当て金なし
「裏はつり」を行う裏当て金なしとは、裏当て金なしで溶接をして発生する裏側の溶接が不十分な部分に「はつり(削り取る)」をしてから、裏側に溶接をして仕上げること。
「はつり」という作業には、ディスクグラインダーやアークエアガウジングといった専用工具を用いることが一般的です。
この方法を行う場合、はつり後は溶接部内部に欠陥がないかどうかを確認をしましょう。
完全溶け込み溶接の手順
完全溶け込み溶接の手順を、「裏はつりを行う裏当て金なし」の例を用いて解説いたします。
以下8つのステップにおける作業をご紹介していきましょう。
- 表側ビード1層目
- 表側ビード2層目
- 表側ビード3層目
- 裏はつり
- 裏側ビード1層目
- 裏側ビード2層目
- 裏側ビード3層目
- 仕上げ
まずは、母材の汚れの確認や溶接材料などの用意ができているかを確認し、端部の欠陥を防ぐためのエンドタブの取り付けといった事前準備を行います。
表側ビード1層目の溶接は、裏はつりを行うので盛り上げすぎないように注意し、2層目や3層目は開先の端に不良が発生しないよう丁寧に溶接しましょう。
表側の溶接後、「裏はつり」を行い、指示がある場合はそちらも参考にしながら欠陥がないかの検査を行います。
「裏はつり」後のU字の溝に裏側ビード1層目の溶接をし、続けて2層目と3層目の溶接を行っていきましょう。
仕上げに、エンドタブを取り外し、スパッタも除去して完成です。
完全溶け込み溶接をするうえで押さえるべきポイント
完全溶け込み溶接をするうえで押さえるべきポイントは、以下の3つです。
- 開先(かいさき)形状による特徴を知る
- 不良発生に注意する
- エンドタブを取り付ける
こちらでは、上記3つのポイントについて解説していきます。
開先形状による特徴を知る
溶接の前に、溶接継手に設ける溝の「開先(かいさき)」は、形状によって様々な特徴があることを押さえておきましょう。
例えば、I形開先で完全溶け込み溶接をするには板厚の制限があり、V形やU形開先では板厚の制限なく完全溶け込み溶接ができる点が異なるといえます。
また、V形の開先断面形状では、厚板の場合に溶着量が多くなることで変形も大きく、U形では、極厚板で溶着量が少なくできて変形も小さくなるといった特徴があります。
不良発生に注意する
完全溶け込み溶接には高い溶接品質が必要となるため、アンダーカットや割れなどの不良が発生しないように注意しましょう。
端部はアンダーカットなどの不良発生がしやすく、余盛りが過大だと応力集中による割れなどが起きやすくなります。
エンドタブを取り付ける
エンドタブを取り付けるというのも、完全溶け込み溶接をするときのポイントです。
エンドタブとは、溶接前の端部に取り付ける小さな部品のことで、エンドタブを取り付けることで、初端と終端に発生しやすい溶接不良の問題を避けることができます。
完全溶け込み溶接とは?部分溶け込み溶接との違いや溶接の手順などを解説!まとめ
完全溶け込み溶接は、母材の断面全体を完全に溶け込ませて一体化させる方法で、溶接部における強度が高いというメリットがあります。
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