溶接棒・溶接機材の通販専門店 ウエルドオール

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こんにちは、溶接棒・溶接機材の通販専門店 WELD ALL(ウエルドオール)です。

「溶接で使われるフラックスってなぜ必要なの?」「フラックスにはどんな成分があるの?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。

フラックスが使われる理由や成分について知ることで、溶接の知識が深まるうえ、適切な溶接棒やフラックスワイヤを選ぶことができます。

今回は、溶接で使われるフラックスとは何か、フラックスの役割、フラックスの代表的な成分とその効果をご紹介します。

さらに、フラックスによって分けられる溶接棒の種類や、フラックスワイヤとソリッドワイヤの違い、フラックスワイヤの種類などについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

溶接で使われるフラックスとは

溶接で使われるフラックスとは、アーク安定剤やスラグ形成剤、脱酸剤、合金剤、鉄粉などで構成される原料粉末のことで、溶接部の品質を向上させるために使用される材料です。

フラックスは「被覆アーク溶接棒」「溶接ワイヤ」「サブマージアーク溶接に用いる粉末」に使用されており、例えば被覆アーク溶接棒であれば、心線と呼ばれる中心の金属線の周りに塗布される形でフラックスが使用されており、「被覆剤」ともいわれています。

また、溶接ワイヤではフラックスが外皮金属の中に充填されており、サブマージアーク溶接では、母材にフラックスを散布するという方法で使用されています。

溶接におけるフラックスの役割

溶接におけるフラックスの役割は、以下の通りです。

  • アークを安定させる
  • 溶接ビードを保護する
  • ビード外観をきれいにする
  • 酸化した金属を還元して精錬する
  • 合金元素を添加する
  • 融点や粘性を調整する

フラックスを用いることで、アークの発生が容易になったり、アークを安定的に維持できたりします。

また、ガスを発生させて大気から溶接ビードを保護する役割や、大気中の酸素や窒素の侵入によるブローホールやピットなどの欠陥を防ぐ効果もあります。

加えて、スラグを形成してビード外観をきれいにする役割や、溶接金属の酸素や不純物を除去する役割もあるのです。

他にも、合金元素を添加して機械的性能を満足させる元素を取り込んだり、スラグの融点や粘性などを調整して、下向・立向・上向姿勢で溶接をしやすくしたりといった役割も担っています。

上記のように、フラックスは溶接において重要な役割を担っているため、アーク溶接には欠かせない存在となっています。

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フラックスの代表的な成分とその効果

フラックスの代表的な成分には、以下の5種類があります。

  1. 酸化チタン・カリ長石・珪酸カリ
  2. ルチール・石灰石・イルミナイト・珪砂・酸化鉄
  3. 澱粉・セルロース・石灰石
  4. フェロシリコン・フェロマンガン
  5. フェロクロム・鉄粉・ニッケル・フェロマンガン

こちらでは、上記5種類の成分とその効果について解説していきます。

酸化チタン・カリ長石・珪酸カリ

「酸化チタン・カリ長石・珪酸カリ」は、フラックスにおいてアーク安定剤として使用されている成分です。

こちらの成分が含まれている製品であれば、アークスタートが容易になります。

また、溶接中のアークを安定させることができるうえ、吹付けを柔らかくすることも可能です。

ルチール・石灰石・イルミナイト・珪砂・酸化鉄

「ルチール・石灰石・イルミナイト・珪砂・酸化鉄」は、フラックスの中でもスラグ形成剤としての役割を担う成分です。

スラグ形成剤は、アークの熱で溶解され、「スラグ」と呼ばれるガラス状の被膜として溶融金属の表面を覆うことで酸化や窒化を防止し、腐食や強度低下を防ぐことができます。

また、ビードの冷却速度を緩やかにする効果もあるため、様々な姿勢での溶接がしやすくなるうえ、スラグ-メタル反応により金属を精錬するという効果もあります。

澱粉・セルロース・石灰石

「澱粉・セルロース・石灰石」は、フラックスにおいてガス発生剤として用いられている成分です。

これらの成分が含まれていると、アークの熱分解によって炭酸ガスが生成され、大気中の酸素や窒素が溶融金属へ侵入することを防ぎます。

溶接では、酸素や窒素が侵入してしまうことでブローホールのように溶接箇所に空洞ができる欠陥が発生し、強度不足につながるリスクもあるため、これらの成分が重要な役割を担っています。

フェロシリコン・フェロマンガン

「フェロシリコン・フェロマンガン」は、フラックスの中で脱酸剤としての効果を担っている成分です。

脱酸剤とは、酸素によって酸化した金属を脱酸し、精錬する効果のあるものです。

溶融池が凝固する前に、酸素に対する親和力が大きいこれらの成分によって脱酸反応が起き、スラグとなって溶融金属の表面に浮上します。

また、フェロシリコンやフェロマンガンには清浄作用もあるので、表面に付着した不純物を取り除いて金属の純度が向上します。

フェロクロム・鉄粉・ニッケル・フェロマンガン

「フェロクロム・鉄粉・ニッケル・フェロマンガン」は、フラックスの中でも合金剤と呼ばれている成分です。

これらの成分を添加することで、機械的性能を満足させるための元素を溶接金属中に取り込むことができます。

また、合金剤は、溶着量を増加させて効率を向上させる効果もあります。

フラックスによって分けられる溶接棒の種類

フラックスによって分けられる溶接棒の種類は4つに分けられ、それぞれに以下のような特徴があります。

イルミナイト系 チタンと鉄の酸化物を結合した鉱物である「イルミナイト」が、フラックスに約30%含まれる溶接棒。溶け込みの良さやアークが強く安定する特徴があり、作業性に優れ、様々な姿勢で用いられる。
ライムチタニヤ系 酸化チタンと石灰、ドロマイトをフラックスの主原料とした溶接棒。優れた再アーク性や棒曲げ性能に加え、低ヒュームや少ないスパッタ発生量という特徴があり、狭い場所での溶接に適してるだけではなく、難吸湿タイプなので使用前の再乾燥が不要となりDIYでも使いやすい。
高酸化チタン系 フラックスに約35%の酸化チタンを使用した溶接棒。溶け込みが浅く光沢のある美しいビード外観になる特徴があり、外観を重要視する薄板などの溶接に用いられる。
低水素系 炭酸カルシウムやフッ化カルシウムがフラックスの主原料となる溶接棒。脱酸作用に優れ、酸素量も少ないことから、厚板の溶接に適している。

上記のように、フラックスに使われる成分によって作業性や仕上がりが異なるため、目的によって溶接棒を選ぶのがおすすめです。

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「フラックスワイヤ」と「ソリッドワイヤ」の違い

溶接ワイヤには、フラックスが外皮金属の内部に充填されている「フラックスワイヤ」と、内部に空洞や添加剤がない「ソリッドワイヤ」の2種類があり、以下のような違いがあります。

フラックスワイヤ 優れた酸化防止機能や屋外での使いやすさ、スパッタ発生量の少なさ、ビード外観の美しい仕上がり、全姿勢溶接が可能であるという特徴がある。一方、コストは比較的高く、スラグ除去作業が必要となる。
ソリッドワイヤ 電圧調整が難しいうえ、酸化防止機能も低く、シールドガスが必要になるためMIG溶接やTIG溶にて使用されることが多い。

フラックスを使用するかどうかで、作業効率や品質、コスト面などが異なるため、目的に応じて使い分けるのが最適です。

フラックスワイヤの種類

溶接ワイヤの内部にフラックスが充填されているフラックスワイヤには、以下の2種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

スラグ系(ルチール系) フラックスの主成分は、ルチールなどのスラグ形成剤。外観の良好なビードが得られたり、全姿勢に対応できたりするという特徴がある。
メタル系 フラックスの主成分は、鉄粉や脱酸剤、合金剤など。スラグが発生しにくく溶着速度も大きいため。下向多層溶接に用いられることが多い。

上記のような特徴の違いがあるため、母材の種類や施工条件などに合わせて適切なものを選ぶのが良いでしょう。

サブマージアーク溶接に使われるフラックスの種類

サブマージアーク溶接に使われるフラックスの種類には、以下の2種類があり、それぞれ以下のような特徴の違いがあります。

溶融フラックス 原料を溶かして粉砕し作られるフラックス。吸湿性が少なく、低・中電流域においてビード外観が良好になる特徴があり、薄板の両面一層溶接などで使用される。
ボンドフラックス 原料を焼き固めて造粒して製造されるフラックス。高電流域での良好な作業性や、高能率な溶接施工ができる特徴があり、高張力鋼板の厚板多層溶接などで使用される。

上記のような違いがあり、それぞれのフラックスの特徴を活かせる用途に使用するのがおすすめです。

溶接のフラックスとは、まとめ

今回は、溶接で使われるフラックスとは何かや、フラックスの役割、フラックスの代表的な成分や効果などのご紹介しました。

「溶接棒やフラックスワイヤを購入できる専門店を探している」という方には、溶接棒・溶接機材の通販専門店WELD ALL(ウェルド・オール)がおすすめです。

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